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執筆者の写真Kaz Uematsu

対馬での海鳥保護 -最新情報通信技術(ICT)の導入-

更新日:10月22日

衛星通信システムを用いた遠隔監視カメラの設置試験


 2024年10月14日から17日にかけて、NRDAアジアは長崎県対馬市の砂浜において、KDDI財団協力のもと、新たな海鳥保護テストプロジェクトを実施しました。この取り組みは、冬季対馬に避難してくるオオハムシロエリオオハムアビの保護を目的とした、衛星通信による遠隔監視カメラシステム設置試験です。



プロジェクトの概要

 海鳥は海洋環境の重要な指標種であり、その保護は人新世における緊急課題です。長崎県対馬は、カリフォルニア湾サンタバーバラと並んで、毎年油汚染海鳥の漂着がある世界的にも稀な地域です。2006年以降、NRDAアジアは対馬での油汚染海鳥の保護と調査活動を継続けています。

 

- 日時:2024年10月15日〜17日

- 場所::長崎県対馬市砂浜

- 参加者:NRDAアジア植松、KDDI財団岡田氏&河村氏


プロジェクトの目的

 最新の通信テクノロジーICTを活用し、オオハム、シロエリオオハム、アビの保護活動を強化することが本プロジェクトの主な目的です。


プロジェクトの経過

10月15日:

現地協力チーム(対馬工機・エレショップとだ)による打ち合わせと機材確認を実施。設置場所の最終決定と、使用する機材の確認を行いました。




10月16日午前:

砂浜に衛星通信システムと遠隔監視カメラの設置作業を行いました。長崎県所有の施設や、現地の皆さんの運用を妨げない様に注意を払いながら、最適な位置に機器を配置しました。




10月16日夜間:

設置したシステムのテスト運用を開始。対馬野鳥の会の皆さんとアカハラダカ観察会打ち上げ会場にて、夜間の動作確認とデータ転送の安定性をチェックしました。


10月17日:

現地テストが無事終了したことにより、設置した機材の撤収作業を行いました。今回のテストで合格した機材をKDDI財団様支援の資金で購入、本格運用は年明けです。

 

今後の展望

 

 このプロジェクトは、対馬における海鳥保護活動に新たな可能性を開きました。衛星通信システムを用いた遠隔監視カメラの導入により、以下のような利点が期待されます。

 

1. リアルタイムで遠隔からのアビ類漂着の確認。

2. 油汚染により外洋より避難して来た、治療可能なアビ類の見逃しの最小化。

3. 遠隔地からの速やかな保護捕獲活動が可能。

4. 早期の保護捕獲による、野生復帰率の向上。


 

NRDAアジアは、このプロジェクトで得られたデータと経験を基に、さらなる技術改良と運用方法の最適化を進めていく予定です。KDDI財団との継続的な協力のもと、ICTを活用した革新的な野生動物保護の取り組みを推進してまいります。

 

アジアの豊かな生態系を守り、次世代に引き継ぐため、今後も最新技術と地域の知恵を融合させた保護活動に尽力します。皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

謝辞:今回のプロジェクト遂行にあたり、対馬市・長崎県対馬振興局に運用のご協力を賜りました。感謝いたします。


 

 

 2024年10月16日対馬市雞知「幸」にて開催された、対馬野鳥の会アカハラダカ観察会打ち上げにNRDAアジアとKDDI財団のチームも参加させていただきました。2024年のアカハラダカ観察総数は、97,085 羽だったそうです。

対馬野鳥の会は、2006年以来対馬でのアビ類救護活動の現地カウンターパートナーです。以下に、対馬野鳥会の活動と対馬の野鳥環境についてご紹介します。


対馬野鳥の会の概要


対馬野鳥の会は2005年に設立された団体で、主に以下の活動を行っています:


- 野鳥観察会の開催

- 対馬に飛来する希少な野鳥の記録

- 写真展の開催[5]


対馬の野鳥環境


対馬は野鳥観察に適した独特の環境を有しています:


**地理的特性**

- 九州の北西部に位置し、朝鮮半島に近い[2]

- 渡り鳥の中継地点として機能[3]


**自然環境**

- 島の89%が森林に覆われている[3]

- 御岳や木坂、龍良山などが県指定鳥獣保護区に指定[2]

- 壱岐対馬国定公園の一部[2]


対馬の野鳥


対馬では、以下のような特徴的な野鳥が観察されています:


**繁殖する鳥類**

- ミヤマホオジロ

- シロハラ

- カラスバト[2]


**渡り鳥**

- アカハラダカ(大規模な渡りが観察される)[2]

- ヤマショウビン(春の渡りの時期に観察される)

- オオワシ

- ナベヅル(冬季に観察可能)[3]


野鳥観察の最適時期


対馬での野鳥観察に最適な季節はです。これらの季節は、ロシアや中国の繁殖地と東南アジアの越冬地を行き来する渡り鳥の中継地点となっています[3]。


対馬野鳥の会は、対馬の豊かな自然環境を活かし、野鳥観察を通じて地域の生物多様性保全啓発に貢献していると言えるでしょう。


情報源

[1] Wild Bird Society of Japan (WBSJ) - BirdLife International https://www.birdlife.org/partners/wild-bird-society-of-japan-wbsj/

[3] Nature - Tsushima Island https://tsushima.weebly.com/nature.html

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