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  • 執筆者の写真Kaz Uematsu

八王子市で発見されたニホンカモシカのケーススタディ

更新日:5月11日

初期発見と診察依頼

 2024年5月3日、上川町に住むT さんは、自宅近くで弱っているニホンカモシカを発見しました。この個体が発見された場所は、近くで大規模な物流センターの造成工事が続いており、最近山一つが切り開かれています。このような開発による生息地の破壊が、野生動物に直接的な影響を及ぼしている可能性が高いと思われます。

 T さんはすぐに警察をはじめとする関係各所に連絡を取りましたが、連休中であったため、なかなか獣医師の診断を受けることができませんでした。状況が一向に改善されない中、5月4日にNRDAアジアの東京事務所に相談がありました。


現地での診察と治療開始

 電話で相談を受けたNRDAアジアの植松は、5月5日の朝に現地へ向かい、カモシカの診察を行いました。カモシカは疥癬症を発症しており、削痩と脱毛、ふらつきの症状を示していました。植松はまず、診断のための便の採取を実施しました。その後、疥癬症の治療のため、5月6日にダニの駆虫薬を吹き矢にて筋肉内に投与しました。この治療は、カモシカの皮膚の状態を改善し、さらなる感染を防ぐために重要です。


回復プロセスとモニタリング

 東京都は近隣都道府県と異なり野生動物保護センターを開設していないため、カモシカの回復は現地で見守られることとなりました。NRDAアジアのスタッフは、カモシカが自然環境に適応しやすいように、最小限の人的介入で治療とケアを続けています。また、Tさんは引き続きカモシカの状態を定期的にチェックし、われわれにご連絡くださる体制が整えられています。

 動物福祉の基本原則「痛み、傷害、疾病からの自由」に従い、NRDAアジアは傷病野生動物の治療とケアに尽力しています。私たちの目標は、動物が健康を維持し、怪我や病気から保護されることです。今回発見されたニホンカモシカは、疥癬症という重い皮膚疾患に苦しんでおり、削痩と脱毛、ふらつきの症状が見られました。NRDAアジアの植松は、カモシカが一日も早く回復するよう、迅速に治療を開始しました。この行動は、私たちが追求する動物福祉の理念を具体的に示すものです。


野生動物との共生を目指して

 人類は、現在生息する全哺乳類の個体数のうち、人間と家畜を除く野生動物がわずか4%以下に減少している現状に直面しています。この深刻な減少は、主に人間の活動によるものです。そのため、NRDAアジアは、人間活動により傷ついた野生動物に対して獣医学的アプローチを用い、動物福祉と生態系保護の両立を目指しています。



(出典:Gigazine)

 

東京都には傷ついた野生動物を保護・治療・研究する充分なシステムがありません。そのため、NRDAアジアは今回のような活動を続けるため外部からの資金援助が必要です。もし可能であれば、私たちの活動へのご支援をお願いします。皆様の寄付が私たちの取り組みを支えることになります。【寄付リンク】

 


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